通路としての文学/葉leaf
ら人生の諸問題に答えを出し、さらにその答えを改訂し、さらに改訂し、という行為の積み重ねで醸成されるのである。そして、人生の大きな問題については、それに対して何らかの回答が与えられることで、人間の社会的な振る舞いも変わってくることがある。
ところで、人生の諸問題は、それが問題として提示されなければ気づかれないことが多い。漠然と日々を過ごしていると、人間は自らの抱えている問題に気づかない。だが、文学作品は、それに向き合う読者に、さまざまな人生の問題を顕在化させる。そして、その顕在化の仕方が、まさに読者に即応した形でなされるのである。なぜなら、文学作品を完結させるのは読者の推定であり、その読者の推定
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