今宵は4つの瞳のために祈ろう/夏美かをる
 
った私の娘は
今朝も「学校に行きたくない」と言って大粒の涙を流した

慰める言葉も底を尽き
私はただ 大きな瞳から次々に溢れ出る涙を見つめていた

その夜 娘にマララの写真を見せて、
彼女の身に起きたことを話した

「ふーん、可哀想だねぇ…」
娘はそう言ったきり 背中を向けた
そして
「もう、お母さんの話は聞きたくない」と
続けようとする私を遮った

所詮今の彼女が
私にも分かり得ない、パキスタンという国の過酷な現実を
受け止められる訳がなかった

“この地球上には 勉強したくても きちんと学校に行けない子が
マララ以外にも沢山いるんだよ”
なんて話を娘と
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