今宵は4つの瞳のために祈ろう/夏美かをる
 
下校途中のスクールバスに
突如乗り込んできた男達
怯える少女達に男が
「どの子がマララ・ユスフザイか?」と訊いた
まだ愛くるしさの残るきれいな瞳を持つ少女が指差された
次の瞬間彼女の頭と肩に喰い込んだ銃弾
彼女の瞳が最後に捉えたのは、
自分に銃を向けた男の恐ろしく冷たい目の光かもしれない

医師になることを夢見て
女の子も学校で勉強をする権利を
勇敢に訴え続けてきた14歳の少女、マララを
タリバン戦闘員達が標的にした
彼らは
もしも彼女が生き延びても
再び襲うとの声明を発表している




同じ地球の反対側
“自由の国”と言われているこの国で生まれ育った
[次のページ]
戻る   Point(16)