【批評祭参加作品】いるかのようにかわいそうなわたし/佐々宝砂
味で、ピュアなメルヘンではないでしょうか。私は、「ピュア」という言葉をごくごくたまにしかつかいません。たぶん、年に一回、使うか使わないかです。
「メルヘン」という言葉なら、半年に一度くらい使うかもしれません。もっと使いたいのですが、なるべく使わないことにしています。なぜなら、誤解を招きやすい言葉だからです。本来、メルヘン(märchen)は、童話、主として昔話を意味します。代表的なものはドイツのグリム童話、日本では「赤い蝋燭と人魚」の小川未明や「泣いたあかおに」の浜田広介がメルヘン作家と言えるでしょう。現代日本にもメルヘンを書く作家はいますが、戦前の古い作品がよりメルヘン
[次のページ]
戻る 編 削 Point(14)