明日もないし帰る場所もない/ホロウ・シカエルボク
 
てるぜ、まともじゃない…
目を閉じるとあの男がヒレでゆっくりとこちらへ歩いてきた、幸せそうににこにこと笑いながら…
「なあ、なあ」
「なんだい…明日早いんだ、眠らせてくれ」
首だけの男はそれを聞くとカサカサと笑った
「なにがおかしいんだよ」
なあ、なあ、と、その男はまた繰り返した、どうやら生前からの口癖らしい
「なあ、首だけになっちまえばいいぜ、首だけになっちまえばなんかしら吹っ切れるぜ、目線が全然違うんだ、あれが大きいんだろうな」
俺は特別そんなことに興味はないと言った、生首の目線なんて特別知りたいと思わないと、俺がそう言うと男は少し悲しそうな顔になった
「だってあんたあんなに
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