明日もないし帰る場所もない/ホロウ・シカエルボク
 
なに何回も俺のこと見てたじゃないか、何度も再生していろんな言葉を俺にアフレコしてたじゃないかよ?興味がないなんてそんなこと言うなよ」
興味はあった、だけどそれはあの時のことだと俺は答えた、男は目に涙すら浮かべて俺になにかを抗議しようとしていた、だけどどんなふうにそれを言えばいいのか分からないのだ、ただ黙って俺の側に突っ立って(?)いた―もう帰ってくれよ、どこに帰るのか知らないけど、と俺は言った
「明日の朝は早く起きなきゃいけないんだ」
男はどぎまぎしてそれから、俺にはもう明日なんてないし、帰る場所も無いんだ、と叫ぶように言うと、ヒレで歩きながらどこかへ消えていった
俺は目を開き、寝返りを打ち、男が消えていったあたりをしばらくの間眺めていた、畜生、どうもぐっすり眠れそうな雰囲気でもなさそうだ…






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