明日もないし帰る場所もない/ホロウ・シカエルボク
 
る毛布みたいに、ふわりと…
首だけになった彼の姿は俺に幾つもの詩を語ろうとする、イデオロギーや、宗教とはまるで関係のないひとつの人生の終わりを
俺は画面を拡大させて彼がなんと言おうとしているのか読みとろうとした、リプレイのボタンを何度も押して―ヘッドホンを被り小さな音まで聞こえるくらいボリュームを上げて
周りで騒いでいる車や人の声が五月蠅くて彼が何を言おうとしているのかはまるで分からなかった、もしも仮に音で聞こえたところでそれは俺の知る言葉ではないのだが
だけど男の口は確かに動いたんだ、俺は思いつく限りのいろいろな言葉でそこにどんなフレーズが当てはまるのか試してみた、思いつくものは片っ端か
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