目覚めゆく街/梅昆布茶
 
配しているのだ

  朝のキャンバス

築地から浜沿いに高速の下をあみだに縫ってゆけばやがて
大田市場にたどり着く

その頃には空も白み始め町並みも
朝の呼吸をはじめてそろって散歩の老夫婦や
忙しく犬をひっぱってゆくあるいは
ひっぱられてゆく飼い主たちがちらほら

やがて早いつとめの人々がちょっと前かがみの早足で
歩道をときどきならして通ってゆく

しだいに学生やアパレルっぽい若い女性
道具入れや弁当をたずさえたガテン系のあんちゃん
そしていかにもなサラリーマンやOLの姿も増えて
集団登校の黄色い旗も通りすぎてゆく

様々の窓があき様々なドアのノブに触れる手
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