オマージュにオマージュ/佐々宝砂
むずかしいこという才能はないのだ。詩のひひょーはなにやらアカデミックな言葉を使わねばらないような風潮があるので、私は悩ましい。
などと深く考えるといろいろつらいので考えるのはやめにして、「風のオマージュ」に話を戻す。まず「風のオマージュ1」でとりあげられている黒田三郎、私は彼の詩では詩集「小さなユリと」収録の「夕方の三十分」が好きで、一応好きな詩人だから入手容易な詩は一通り読んではいるのだけれど、「逃亡者」はなんかあまり記憶に残ってなかった。読んではいるはず、確か十五くらいのときに。もしかして、若すぎてだめだったのかも、今読み返せば印象が違うかも。今の私なら、ファンタスティックな世界にある少
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