詩を書くということ/三田九郎
分が感じている悲しみは、「悲しい」という言葉で表現されるものとは、かなり違う。だから、「悲しい」と言ってみたところで何も伝わった感じはしないし、実際ほとんど何も伝わらないだろうと思う。
そういうとき、僕は自分の悲しみがいったいどういうものなのか、行けるところまで接近し、突き止めたいと思う。正確に書き残したいと思う。―詩を書くということは、そういうふうに、自分の精神に限りなく接近していこうという探検であり、自分の精神をできうる限り正確に表現してやろうという挑戦である。
探検や挑戦には、苦しみがつきものだ。苦しいことの連続と言っても言い過ぎではないかもしれない。
ただ、確かに、
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