ジョーイ/ホロウ・シカエルボク
い、ときみは思った、なんてすごいんだろうと
きみはそのとき生まれるということを知った
今度はロザリーがきみのように
目覚めるたびにひとつひとつ
新しいことを覚えていった
ロザリーが初めて言葉を話したとききみは
柔らかな雷に打たれた様に震えた
おかあさん、ときみは母親に呼びかけた
「ロザリーがおしゃべりした!」
きみはロザリーといつも一緒にいた
彼女が少しずつ
彼女たるものになっていくのを一番間近で見た
母親はどこか懐かしいといった顔でにっこりと笑った
そうしてきみは、動かぬ身体の中で意識だけをしっかり研ぎ済ませてゆく、記憶は驚くほど確かに、順を追って回転す
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