ジョーイ/ホロウ・シカエルボク
あの頃きみは目覚めるたびに新しいなにかを手にしていた
たとえば声を上げること
たとえば見ること
たとえば言葉
たとえば立つ
それから歩く
食べる
なにかを手にすること
なにかを手放すこと
なにかに躓くこと
それから倒れること
理解出来ないことが起こるたびに
大きな声を出して母親を呼んだ
母親はすぐに来てくれて
うたを歌いながらきみを慰めてくれた
うたというものはきみは早いうちから好きだった
それがあるとなんだか気持ちが穏やかになる気がした
きみは少しずつ少しずつ、判ること出来ることを増やしていった
きみがなにかを出来るようになるたびに
両親はきみのことを抱きし
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)