ジョーイ/ホロウ・シカエルボク
ころのことだった
時刻は午後の早い時間で、きみが生まれるために頑張ってくれた人たちはみんなお腹をすかしていた
きみが最初に感じたのは
きみを取り上げてくれた医者の手のひらの温度だった
これはなんだろう、ときみは思った
そのことについて考えるのに夢中で
きみは泣声を上げることをしなかった
はじめみんな君が死んでいるのだと思った
でもきみが不思議そうに首をかしげたのを見て
ああ、よかった生きていたとみんな胸を撫で下ろした
その時の何とも言えない空気のこともきみはちゃんと覚えていた
そうして覚えのある鼓動に寄り添い
湯につかり
あたたかい布の中でじきに眠くなった
あの
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