ジョーイ/ホロウ・シカエルボク
 
ると、昔のようにそこに合鍵が置いてあるのを見てにっこりした。ロザリーが置いといてくれたんだ、ロザリーが、ぼくが帰ってくるときのことを思って―


鍵穴に合鍵を差入れ捻ると懐かしい小さな音がして長い間かけられたままだった玄関の鍵が開いた、その音がした瞬間きみの頭の中の霧は晴れ、湖は消え、きみが見ているものが現実の世界ときれいにシンクロした、きみは最後にこの家にいたころのきみに戻っていた、きみはドアを開く、きみが戻るべき世界がそこにあった、ただいま、ときみはあの頃のように叫んで暴れるように駆けこんだ、蓄積した、小さな虫の死骸や、埃や、途方もない哀しみの痕跡などはまるで目に入らないようだった、きみ
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