ジョーイ/ホロウ・シカエルボク
 
かがきみに気付いたとして、きみに声をかけてくる可能性なんてきわめて少なかっただろうけど―小さなマーケットの前を通り、音楽が流れているカフェの前を通り、雑貨屋の前を通り、教会の前を通り、角を曲がり、裏道に入り…久しぶりに通るその道はきみをとてもウキウキさせた、もうきみは知っていた、それがどんなに大切なことだったか―やがてきみは懐かしい家に辿り着く、門は閉ざされていて、「売家」と書いた札がかけられていた、それはもうすぐには読めないほど昔にそこにかけられたもののようだった、きみは門に手をかけた、鍵はかかっていなかった、小さな庭に駆け込み、玄関の側の地面に伏せて並べてある五つの植木鉢の真ん中を持ち上げると
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