ジョーイ/ホロウ・シカエルボク
 
ったあの夜から始まっている景色だった…列車が駅に着くまで、きみは一度も目覚めることはなかった、霧の中で、ただぼんやりと少し俯いたところにあるなにかを見つめていた


駅に降りて、改札を抜けると、きみの目の前に懐かしい景色が広がった、きみの顔には頬笑みが浮かんでいた、きみはしばらく駅の入口を出たところにあるベンチで、穏やかな日光を浴びながら駅前の賑わいを眺めた、気が済むまで眺めたあと、列車の中で誰かが忘れたフードつきのコートをバッグから出して着込んだ、少し速い春にはちょうどいい服だった、きみはフードをかぶり、俯き加減に歩いた、きみのことを知っている誰かに会うのは避けたかったから―もっとも誰かが
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