ジョーイ/ホロウ・シカエルボク
 
こに彼らが居るかどうかなんて問題じゃなかった、きみは洗面に立って顔を洗って深呼吸をした、列車の中はガラガラで、それはきみの故郷がすっかりさびれてしまったことを意味しているのだけれど、そのことにもきみは気付かない様子だった


列車に乗り込んでしばらくの間、きみは窓の外の景色を見ていたが、やがて眠ってしまった…夢ひとつ見ない眠りだった―きみは夢というものを見たことがなかった、きみが眠っている時、きみが見ているものは、あの霧に包まれた光景だった、どこを向いても見えるものは霧ばかりだった、きみはそれを、施設に住み始めたせいだと思っていた、だけど本当は、その少し前、きみの側からロザリーが居なくなった
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