ジョーイ/ホロウ・シカエルボク
けど、さっき倒れたって電話が入って―老婆は、その話をあっさりと信じた、きみは、嘘をつくような人間には見えなかったからだ、車の中で、老婆は、あなた、お金はあるの?と聞いてきた、大丈夫です、ときみは答えた、施設で暮らしてるときにこつこつためた貯金があった、でも老婆はきみに金をくれた、「なにかあるといけないから、いいのよ、気にしないで」きみは心から礼を言った
乗り込んだ列車が故郷に向かって走り始めたとき、きみの鼓動はすこし不安定になった、顔は上気し、何度も大きな息を継がなければいけなかった、父の顔、母の顔、ロザリーの顔が、きみを迎える場面を想像すると居ても立っても居られなくなった、本当にそこに
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