ジョーイ/ホロウ・シカエルボク
ない鳥の囀りを聞いたり、現実にはない木々たちの枝が風に煽られて枝をこすらせたりする音を聴いて過ごした、ときどきその霧を追い払って目の前にいま何があるのか確かめようとしてみたこともあったけれど、それは絶対に晴れることはなかった、そう、きみがそこにいる間は、一度も
霧が晴れたのは、きみが施設で幾つも年を取って、もうそこから余所へ移らなければならないとなった時だった、きみは眼前に広がる美しい湖を見た、その湖のあたりではどうも朝を迎えたばかりのようで、湖面は太陽の光を受けてキラキラと輝いていた、その湖面を見ているうちきみは、ロザリーに会いに行かなければいけないとはっきりと思った…どうすればそれが
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