ジョーイ/ホロウ・シカエルボク
れが出来るのかは判らなかったのだけれど、とりあえずなにか用意だけでもしておこうと思った、きみは施設の工具箱からドライバーをひとつ盗んで隠し持った、それを使うときがあるかどうかは判らなかったけれど―チャンスはきっとどこかにあるだろう、ときみは思った、きみは施設では問題ひとつ起こさなかったし、愛想も良かったから、だれもきみが逃げ出すなんて考えていなかった、係の人もきみを連れてちょっとしたドライブに出かけるぐらいのつもりでいた、きみは施設のみんなとお別れを言って握手をし、車に乗り込み、長い長い距離を走った、途中、大きなショッピングセンターが道の先にあるのを見つけた君は、お腹が痛いから車を止めて欲しい、と
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