ジョーイ/ホロウ・シカエルボク
ねえ、ロザリー、きみはいったいどうしちまったんだい?大きな車の後部座席に乗せられ、どこかへ連れて行かれる間、きみは薄曇りの窓の外の風景を見ながらそんなことをロザリーに話しかけていた
施設で暮らしはじめた最初の数日間のことをきみはよく覚えていた、例えるならそれは山歩きをしていて、間違った道に入りこんだのにそのまま歩き続けていたら、何となく居心地のいい湖を見つけてそのまま居ついたという感じだった、誰かがずっと昔に建てたままほったらかしていた小屋があって、きみはその中へのそのと入りこみ―施設の中で数日暮らすうちその風景は濃い霧の中に隠れていった、きみはその現実にはない湖のそばで、現実には居ない
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