伝説のおじい/salco
に憧れやまず
畑を売ってミンダナオへ
目途がつくと家族を呼び寄せ
ヤシの実で焼酎を作る研究に勤しんだ
と戦前を豪語していたが
それは隣のヤマトんちゅーの話で
飲みたくて入り浸っていたのだと
そんな嘘がばれるごとに
孫達の白眼視は増えて行った
本当はささやかな雑貨店を営み
女房に任せてほっつき歩いていた
戦局が悪化していたある日
帰るや
すぐに荷物をまとめろと命じた
毎度の気まぐれにおばあは抗弁するが
今日は血相を変えて譲らない
学校から帰った子供達に手伝わせ
リヤカーに積めるだけ積んで出た
町外れの橋を渡っている時
米軍機が三菱の工場に爆弾を落とした
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