朝を待つ/コーリャ
 
たくないなにか。ただの生きるという発音では適切じゃないなにか。道すがらに誰かと手をつなぎ。手放すこと。それは。薬指の爪先が離れたとき。風に触れたとき。オブラートを舌で溶かすように。混沌の中のみえない一色になる。彼らはどんな顔をして溶けてゆけばいい?疑いようもない朝の光の幾筋に!そしてそれは嘘のひとりごとでしかない。彼は彼だけの言葉で。恐れていたものをなだめ。光を崇める。ということはできないことを知ってる。それは誰かから教えてもらったことだから。もうどうでもいい。とくに。あなたなんかは。それでいいから。だから。返そうとおもったんだ。言葉のほかで受け取ったものも。言葉も。そろそろだろう。起ち上がる。朝
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