叙事詩??物語・詩??/……とある蛙
 
が話しだす。
大きな海が広がって、岩陰に隠れ、
青ざめた色を空に投げ返している。耳を傾けた一人
一人の目が輝く。

        トリーノに日暮れに着けば
すぐ目につくだろう、街をゆく
意地悪そうな女たちが。着飾って、独りぼっちで歩いている。
あそこでは女たちはみな着る服のために働くのだが、
いちいち光に合わせている。朝方の
色もあれば、並木道へ出てゆくための、そして
夜の楽しみの色もある。女たちは、待ちながら
独りぼっちの自分を感じて、人生の底まで感じてしまう。
それは自由な女たちだ。彼女らには何も拒まれない。

打ち返しまた打ち返して岸辺に衰えて行く海の音がする
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