ヤドカリボールペン日記/竜門勇気
 
救済とか
使命とかそんなんじゃなくて
とても寂しい場所へ続くチケットの発券を待つことかもしれない
誰もがかかってる薬の効かない病気の告知
自分でも気づかない潜伏期間の終わり

君が出かける理由もそうであって欲しい
君が精神的な意味でのヤドカリであるべき理由がないなら
僕は殻を捨てることも新しい殻を探すことも
無意味だと思った
自分を救うのはいつも自分以外の誰か
殻が窮屈になるほど成長はできそうもない
この小さな工房で無限の妄想を創っては壊す
ただ嵩張るだけの身の丈に合わない理想はいらない

鼓動が聞こえる回数
夜が来るたびに数えていた
鍵付きの日記帳
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