美しいひと/はるな
むかし熊だったころの話をすると
わたしの手あしの毒虫に噛まれたところがどくどくと痛むので
これはむかし熊だったころにも同じところを噛まれたのだろうなと
予想できる
それくらいの頭で
手に入れた見晴らしを
はたして貧しいと思うのかどうかは
それはひとに任せるけれど
やっぱりわたしは
素晴らしいと思うときと
死ぬくらいにみじめだと思うときと
いるもいらないもどうでも良いようなときとが
同じくらいにあるな
たぶん
想像できるのは
わたしがはじめてみたとき
君がとっても美しくて
とてもたちうちできないやと思ったけれども
それでも年をとって強くなっ
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