美しいひと/はるな
なっていって
わたしも、
周囲も、どんどん
美しくなった
そのときに君は
最初の美しさからみじろぎもせず
わたしがどんどん美しくなっていくなかで
みじろぎもせず
でも
想像できるのは
そうやって手に入れられる武装が
またどんどんさびれていくときに
君はやっぱりその美しさからみじろぎもせず
いるんだろうな
むかし熊だったころの話をすると
それはだんだん先の日常へつながっていって
自分がこれから熊になるのだという感覚になり
おおきな輪の内側をひたすら歩いて
(歩かされて)
いるような心持になり
それがまた
安寧であるときと
吐き散らすくらいいまいましいときがあるのだけど
どちらでも君は
同じように笑って
熊のなごりのようなおおらかな手足を
のばして鳴きます
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