夜のぬかるみの中で不十分な手入れの銃を構えている/ホロウ・シカエルボク
 
ことが出来なかった夜なんかは
街外れの堤防に腰を下ろして不親切な世の中を呪うのだ


残飯をたらふく詰め込んだ夕飯を済ませて
俺はぼんやりして遮光カーテンを見つめている
仕事終わりの連中を運ぶ路面電車がひっきりなしに通り過ぎて
飼猫はそのたびに眠りから覚めて空気のうねりを聞く
大丈夫だ、あいつはおまえには何もしない、とときどき言ってやるけれど
飼猫はその言葉を絶対鵜呑みにしたりしない


天気予報は数時間おきに紆余曲折を繰り返して結局
明日は雨が降る心配はないというところに落ち着いた
だけど眠っている間に誰かの気が変わって
朝になったら閉じた傘のマークぐらいは太陽の隣
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