夜のぬかるみの中で不十分な手入れの銃を構えている/ホロウ・シカエルボク
 
ソもなくただ蝉が声を張り上げる


街中を流れる川のよどみは暗く
葬列のような印象を残す
果てしなく空は晴れているのに
呪われているみたいな憂鬱が海に向かっている
昨日の雨も一昨日の雷も何も洗い流すことは出来なかった
せいぜい度を超えた酔っ払いの吐瀉物を一つ二つ排水溝へ連れて行ったくらい


日が暮れるころには気の早い野良犬がおこぼれを求めてうろつき始める
自分の手で何かを手に入れることをあいつらは知らない
なにもかも優しい誰かが分けてくれるものだと信じて疑わないのさ
見なよ、なにかを欲しがるとき、あいつらはみんなうつむいて歩いている
そして結果的に何も手に入れること
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