祭の夜、拳銃を探す/草野春心
 

  想像では、それはきっと
  何所か貧しげなビルの一室の
  貧しげなスチールの机の
  抽斗にしまわれているのだ



  何所までも途切れることがない
  屋台群は彼に巨大な円を思わせる
  自分は誰からも疎まれ
  そして自分も総てを憎んでいる
  そのような形で彼に示された
  一種の刑罰を思わせる
  間延びした、見知らぬ言葉の渦が
  彼からあらゆる言葉を奪う



  けれども私は
  彼らを撃たないだろう
  湿った土埃と人いきれで
  徐々に混濁する意識の端で
  中国人は思う
  私は彼らを撃たないだろう
  それに自分を撃つ
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