祭の夜、拳銃を探す/草野春心
 
撃つつもりもない
  錆びた抽斗をそっと開き
  私が拳銃を取り出したとき
  きっとそれは濡れているのだ
  何所か遠い場所から届いた
  夏の夜の雨のせいで



  祭の夕べ
  小雨の調べ
  みすぼらしい電飾にきらめく
  昔ながらのささやかな痛み
  それでいい
  構わない
  その拳銃に
  充分な数の弾が込められていれば
  私が本当に撃ちたいものは
  きっともう、
  既に誰かに撃たれてしまったのだ




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