さよなら、と黒焦げた蛾は言った/ホロウ・シカエルボク
 
…そんなこと始めから関係なんてなかったのよ
あなたは詩を書くんでしょ、格好を付けるために書いてる訳じゃないんでしょ
尊敬されたくて書いてるわけでもないんでしょ
ひとかどの人間に見られたくて書いてるわけでもないんでしょ?
伝えたいことがあって
書いてるわけでもないんでしょう?
導かれるとき、そこには何も他のことなんかないのよ、ただふらふらと、ふらふらと、そこへ流れていくだけなのよ
あんたに話しかけたのはだからなのよ、あんたは風が吹くことや雨が降ることと同じ原理で詩を書いているから、他の何かのために書いている誰かとは違うから
ねえ、あのね
死ぬや生きるやなんてことは記号みたいなものよ
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