さよなら、と黒焦げた蛾は言った/ホロウ・シカエルボク
 
俺は精神か?
精神ばかりの生は、肉体を捨てるのか?
肉体ばかりの生は、精神を否定するのか?
あるいはそのどちらでもなく
そしてそのどちらでもあったりするのか?
あんたは嘘つきじゃない、と焼け焦げた蛾は言う
どちらかに決めることがそれほど重要なのかしら?嘘と本当は真っ直ぐに引かれた一本の線だわ
そこにはただ心ってものがあるだけなのよ
希望と絶望もそう
そんなものあんたたちが作り出したまがい物にすぎないわ
私達は等しくただ生きてるだけの存在よ、そこにはどんな真実もなければ
どんな嘘だって存在しないのよ
だから私は光に導かれるままにこの身を操った
焼かれるとか焼かれないとか…そ
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