冬漠手/木立 悟
目をつぶれば
左下への回転
何も得るものなく
つどう
貝の内側に踊る白
芯を持たない腕と脚
外へ外へ
出ようとする色
絶え間なく音が
宙に消えてゆく
すべてが悲しさで
すべてが あわれみで
またたくもののまま廻り
照らすもの 照らされるものを
冬より低い空に散らす
午後にさらに近い肌
斜面を覆う街が消え
朝にも昼にも人は無く
石の終わり 石の処刑場
断崖へ流れつく熱の色
風が裸足になり
浜辺ははじまる
青の火花 青の粉
首を傾げた視線に降る波
魚も船も水も灯り
棄てられる冬のうしろ
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