冬漠手/木立 悟
 
しろにたたずみ
近づくのか遠去かるのか
一本道にゆらめく影


指のようでいて指でない
頬の上の鍵盤が
羽に重なり 羽に飛び去り
何音あるかわからない


境界に
門ばかりが建ち
何を畏れているのか
外壁は 編むものにあふれ


冬に到く手
沈む腕
遠くも近くも
此処に在る夜


星をめぐる音
埒外の音
とめどなく失われなお
誰も居ぬ家の前に立つ


























戻る   Point(2)