冬漠手/
木立 悟
しろにたたずみ
近づくのか遠去かるのか
一本道にゆらめく影
指のようでいて指でない
頬の上の鍵盤が
羽に重なり 羽に飛び去り
何音あるかわからない
境界に
門ばかりが建ち
何を畏れているのか
外壁は 編むものにあふれ
冬に到く手
沈む腕
遠くも近くも
此処に在る夜
星をめぐる音
埒外の音
とめどなく失われなお
誰も居ぬ家の前に立つ
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