きんいろ/
 
ッカーだので使われていたベンチも、尻の感覚ぐらいでしかあるかどうかわからなかった。ほんとうは、ベンチの裏側は欠落しているのかもしれないとさえ感じた。少し遠くの方で、ともだちとHの影法師が、快活そうに揺れていた。おれは運動ができないからじっと眺めるだけだった。
 火を消すためにたばこを落とすと、地面が靄みたいに光っていた。金色だったかどうだか忘れた。けれどそのとき、すごくきれいなものを踏み潰した覚えがあった。

 片付けは通夜みたいに行われた。時折笑い声は上がるのだけど、空笑いだった。炭に水をかけるとじゅうじゅう悲鳴が響く。バーベキューセットを箱に叩き込むときも、なぜだか話もしなかった。車に乗
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