『子ども達』/永乃ゆち
 
、この隣で寝る人は

「子どもはいらないよ」

と言ってくれる。

これも幸せという事なんだな、と思う。



けれどわたしは、この人を裏切っている。

わたしの心はもうずっと前から他の人のものだ。

片思いではあるけれど。

隣で寝る人は、それでも良いと言ってくれる。

けれどきっと傷付いている。

わたしは『幸せ』の上に胡坐をかき

『優しさ』につけ込んでいる。

生きているだけで、誰かを傷付けているのなら

いっそ命を捨ててしまおうとしたが、失敗に終わった。

『生きてるだけで良い』

そんな事本当にあるのだろうか。




[次のページ]
戻る   Point(9)