『子ども達』/永乃ゆち
わたしの片想いが成就することなない。
それでも棄てきれずにいる事に何の理由も見い出せないまま
わたしは今夜も『子ども達』を抱えて眠る。
隣で寝る人の愛の証であるところの『子ども達』を。
ごめんなさい。
小さく呟くと
別に。
と、小さく返ってきた。
生きる事を許されているわたしは
恋の辛さも
背徳の自責も
全部背負って一生を終えようと思う。
天寿を全うする事だけが
恩返しのような気がする。
この人にも、あの人にも。
『子ども達』は何も言わない。
今夜も、ただのほほんとした顔をして
わたしの腕に抱かれている。
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