怪談 をんなふくら萩之変/salco
 
れば

知り初めたちょっかいと恥じ
たしなめ一分の流し目振り向けて
酔眼の下衆にはっとすくんだその拍子
解けた結えの手拭いはらり
湯中りののぼせも凍った、これが丸髷(人妻)
ぬか袋も手放しのべっぴんまでは好かったが
お栄の亭主が男すけべえ運の月
袴は質流れにて無沙汰の着流し
出待ちの横合で懐手を抜くが早いか
脇差の鍔をかちりと進み出でた畑中源志郎
お殿様の改易で干され果ててもさぶらふの
気位、気慨で糊する浪人
雪ぐ家内の一大事「無礼者ッ」

ばっさり背に袈裟懸けられて
と、と、と、と傾いで勧進帳ばり飛び六方
先にのめった道具の箱が埒をあけ
がらがらと墨つぼ、鉋
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