岩田宏詩集 現代詩文庫を読む/葉leaf
この詩にはリフレインが多用されています。「さよなら よごれた水と藁束」以下や、動物の死、ヒコーキの襲来と獣を殺すこと。リフレインは同じものを繰り返すことですが、まったく同じ言葉が繰り返されていても、それは実は違ったものを指していると言えましょう。それはまさに既視感と同じ理由によるもので、言語という反復可能なものは、実は同じ言葉を反復しながらも違うものを指示しているからです。そして、岩田は、リフレインにおいて言葉を微妙に変えていきます。「さよなら よごれた水と藁束/たべて 甘えて とじこめられて/それがわたしのくらしだった」これが、「さよなら よごれた水と藁束……」になり、さらに「さよなら よごれた
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