岩田宏詩集 現代詩文庫を読む/葉leaf
 
れた水と……」になり、さらに「さよなら よごれた……」となります。これは明らかに同じ詩行の繰り返しなのですが、その繰り返しのごとに差異が組み込まれていっているのが分かるでしょう。言葉を少し変えていくことによって、同じ物事を違った角度からとらえなおしていく。つまり、同じで新しくないものを、リフレインすることにより、新しいものへと変えていくのです。岩田は一見同じものを退屈に繰り返しているかのようですが、実はそこでは、同じものをつねに新しい角度からとらえなおそうという彼の詩的態度がうかがえるのです。


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