続・田村隆一詩集 現代詩文庫を読む/葉leaf
 
ます。つまり、水平的に何のつまずきもなく滑らかに流れていく日常的な言葉のやりとりを破壊し、中断させ、異様な言葉を生み出すことで言葉の受け手に衝撃を与えます。「真昼の球体を 正午の詩を」この部分は、まさに詩の異化作用が如実に表れている部分です。日常的な言葉のやりとりで「真昼の球体」などという言葉はまず出てきません。真昼に何か充実するものを感じる、真昼に何かまとまっていくものを感じる、そしてその充実するもの・まとまっていくものは、なんとなく球体のようななめらかさ・完全さを備えている、そんな感覚を異化することによって「真昼の球体」という詩句は出て来たのです。この異化作用も垂直性だと思われます。
 さて
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