続・田村隆一詩集 現代詩文庫を読む/葉leaf
倫理性。それは「水平的人間にとどまるわけにはいかない」という倫理性にも表れています。つまり、水平的人間であってはならないという規範、つまり水平的に流れてしまうことに対する障害、を設定し、それを自己にも他者にも向ける。この規範こそが垂直性なのです。そのことによって、水平的に流れてしまう態度を絶えず反省し、垂直へ向かうように田村自ら運動を続け、他者にも運動を続けさせる。
次に、田村の詩に頻出する矛盾。「言葉のない世界を発見するのだ 言葉をつかって」これは一見矛盾するように思われます。あくまで言葉を使っている以上常に言葉は存在するのであって、それによって言葉の存在しない世界を発見することは不可能なの
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)