続・田村隆一詩集 現代詩文庫を読む/葉leaf
はげしく呼吸しあい 空に向かって歓声をあげながら墜落して行く高塔寺院の方へ
この詩は、1976年、田村が53歳のときに刊行した詩集『死語』に収められています。処女詩集を刊行してから20年。『四千の日と夜』では極めて垂直的だった田村がだいぶ水平的になっていることが分かります。「ゴルコンダ」という固有名の使用。「ワイン」という生活語の使用。田村は、音楽的で倫理的で矛盾をたくさん抱えた初期の詩編の境地には耐えられなくなった。
やはりそれは、私としても現実的な手がかりがどうしても必要なんで、それがなくてはちょっともたないですよ。その意味で、たとえば『四千の日と夜』のようなやり方だけでいった
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