夜でも どうでもいい話/佐々宝砂
えた瞬間はわずかに三回。その三回とも、飛ぶ前にずるずると落ちていた。飛んだあとは、どすーんと落っこちた。飛ぶのは一瞬だ。かなしいくらいに瞬間的だ。でも、それでいいんだと思う。そんなにしょっちゅういいものが書けるわけがない。私は天才じゃない。こつこつ地道な努力型のヒト(?)なのだ。飛ぶことが一度でもできたなら、もう一度できるだろうと、しつこく努力を重ねる。前の状態に戻るのは不可能だから、いろんな努力をする。前とは違う手法を試したり、読んだことのない分野の本を読んでみたり、昔すきだったものを再読してみたり、映画をみたりマンガを読んだり美術館に行ったり、あるいはなんにも考えないつもりで山に入ってみたり(
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