夜でも どうでもいい話/佐々宝砂
 
)だけれど、飛びっぱなしはいけない。いや飛びっぱなしでOKという人もいるだろうし、そういう人の飛翔を阻むつもりはないけれど、少なくとも私は、時折どどーんと地の底の底まで落ちなきゃならないのだ。憂鬱になるという意味ではなくて、落ちなくてはならない。自分の中に穴を掘って、掘って、掘って、痛いなーと思ったら、そーっと穴を覗く。そこにはいろんなものがある。主として、いやになるようなものがある。でもパンドラの函の底にも希望はあったわけで、いやぁな穴の中にもなにか光るものはある。私はそれを拾って空に駆け上がる。駆け上がることができるときには。

二十年間、詩(のようなもの)を書いてきて、飛べたなあと思えた
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