ホタル、きみはもう真っ裸じゃないか/草野大悟
しようもないも言う。
どうしようもないは、どうしようもない以上に
どうしようもなくなって、
冷蔵庫の後なんかに隠れてみせたりするけれど
そんな仕掛けはだれだって見切っていて
「いやぁ、ばれちまいましたか」などと
ごたくを並べるヒマさえ与えられない。
夏だ!梅雨があけるよ!
濁流は、そう叫びながら、濁流である自分を誇り
そんなことねぇよ、とニヒルを気取って
青空に乗っかって
甲羅干ししているミドリガメを俯瞰している。
おそらく、たぶん、どこにも、そして、だれにも、
幸せなんていう幻は、降ってこない
、と濁流は渦巻きながら思い
あのころと同じように、濁流を流れ
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