夜めぐる夜  ?/木立 悟
 



石の家の背
ひらく空


あたたかさ
翳りのあたたかさを
指は着て


ひとつの泡が
いつまでも消えずに
流れる言葉の空を映していた


光をなぞり
歩いていた
花のような歴史が
道の両側に
咲いては散り
笑んでは笑んだ


遠い光
聞こえぬ光
水彩の腕
地を混ぜて


影は影を押し
ひとつふたつ鳴き
曇に到いては
雨の音となり


花を持つものが花をこぼし
見えないところで咲いてゆく
折れて倒れて
刺さる道の音


地と海と空
二本の指
はざまにふるえ
満ちてゆく白


青空と金属
鉱は水の
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