夜めぐる夜  ?/木立 悟
 
水の下
霧は歩むものたちの
足もと以外を消してゆく


樹のかたちをした
樹ではない生きものが
樹とともに風にそよいでいる
山へ街へ庭へ そよいでいる


ざわめきは朱く
ふちどりは多重に
ふるえはふるえに
暗がりを暗がりに書きしるす


ひらくことのない窓が灯り
石の路を聴いている
壊れた楽器から離れぬもの
野の境に立ちつづけている































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