匿名遊戯/雑魚ヒロシ
言うと長崎生まれの友人はそれは出来ないと答えた
礼儀にくらい凡庸な容姿をした同性のカフェー店員に文句を呟きつつうすぼんやりとした明かりのぽつぽつと灯る静かな雑音に満たされた空間にてカップを夕陽に傾けつつあなたとするとりとめのない話
ゆたかな頬はっきりとうつくしい輪郭をえがく顎まどうこと無しにひとをまどわせる無邪気さと沈思をたたえた瞳を包み込むおおいなるものの筆によってあまりに鮮やかにすっと引かれた瞼とあでやかなながい睫毛ととのった鼻筋に小鼻は画竜点睛薄く刻まれた小さな縦じまが情の深さをものがたる肉厚で意志の強さと完全な受容を同時にそなえたようなくちびるまるでそのためにあつらえた
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)